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媚薬と催淫薬について


媚薬(philtra; philtrum)を辞書で調べても、「ほれ薬」のひと言ですし、催淫薬(aphrodisiac)を専門書で調べても「性欲を刺激したり促進する薬剤」という説明で片づけられています。

「安価で簡単、お手軽に未知の性的快感を得たい。」
「自分に振り向いてくれない意中の人を虜にしたい。」
「女性がセックスしたくなる薬を意中の女性に飲ませたい。」
「最近、求めて来なくなった夫や彼が求めて来る薬を飲ませたい。」
「素質と努力だけでは得られない、高い性的快感が欲しい。」

媚薬を求める多くの人は、このような「禁断の願望」を満たしてくれる薬を求めているのではないでしょうか?そして「手軽で安全、より効果的で安価なもの」をお探しになっていませんか?

最近は「媚薬」で検索すると、違法・脱法行為の怪しげな通販サイトが多数ヒットして、国内法では明らかに非合法となる商品が販売されていますが、私どもは相容れない立場です。結論を急ぎましょう。

性ホルモンは天然の媚薬

合法で安全な天然の「媚薬」と「催淫薬」は、性別を問わず、自分の体が作り出す「テストステロン」(男性ホルモン)です。 女性にとって、体内で作られる「エストロゲン」(卵巣ホルモン、女性ホルモンの一種)は天然の媚薬とも言えます。

Theresa L. Crenshaw MD は、愛は脳の問題によって決定され、「テストステロンは攻撃的な性衝動の原因であり」、「エストロゲンは女性の受動的な性衝動の原因である」と述べています。 同じ「性欲」でも、エストロゲンとテストステロンは微妙な違いなどニュアンスがあるようです。

テストステロン

テストステロンは、性欲を高め、配偶者を引き付ける体臭フェロモンを放出し、攻撃性と性欲を高め、勃起を促進する脳内の神経伝達物質であるドーパミンを高めると言われています。

現代的に表現するなら「肉食系」になる効果があると言えます。 近年、女性が肉を食べることをほのめかす話が多いようですが、男性ホルモンは男性特有のものではなく、女性もテストステロンを分泌するため、女性は攻撃的なセックスをする可能性があります。

性欲に活発だったときのことを覚えていますか? 「些細な刺激、淫らな性的妄想」「自慰中毒」「性的なパートナーを求めてナンパする」「性癖」などです。 思いつき方は人それぞれですが、何か考えられるとすれば「その時のあの気持ち」がテストステロンの典型的な媚薬効果のようです。

性欲減退(アンドロゲン分泌不足による)は、テストステロンクリーム「グロミン」の効果の一つです。 これはテストステロン欠乏症に対してグロミンでテストステロンを補うことで期待される効果ですが、健康なときのレベルに近づけるだけでは不十分であり、すぐに効果を期待することはできません。 並外れた媚薬や媚薬に期待するような効果はありません。

テストステロンレベルの高い肉体労働者や肉体労働者の中にセクシーな肉食動物がいたとしたら、それは理にかなっています。 健康的なライフスタイルを維持し、よく訓練された体を持つことは、性別に関係なく最も合理的で合法的な媚薬であるべきです。

エストロゲン

先ほど、女性の受動的性欲の原因として「エストロゲン」について言及しました。

エストロゲンにはさまざまな生理作用がありますが、コラーゲンの生成を促進し、肌にハリと潤いをもたらし、気分を明るくし、美しい姿を形作ることができます。 性器をより敏感にし、陰茎を湿らせて陰茎をより受け入れやすくすることが知られています。この生理的反応も受動的なイメージです。

「女性は恋をすると美しくなる」というのは必ずしも神話ではありませんが、恋愛関係や性的パートナーの存在は、エストロゲンの分泌を刺激し、肌や体型の状態を整え、人を輝かせることができます。 つながり、より魅力的になることができます。

このような状況でパートナーが見えないために「寂しい」と感じると、マスターベーションの頻度が増加する場合、それはエストロゲンの媚薬効果である可能性があります。

テストステロンの性欲を「手放したい」「セックスしたい」と表現すると、エストロゲンの性欲は「手放したい」「一人になりたい」と表現されます。

言うまでもなく、女性の外生殖器は形態学的に凹凸の凹側です。心身ともに凹凸の「凹」であり、鍵と鍵穴で言えば「鍵穴」のイメージです。女性が一人ひとり異なる鍵穴であるとき、多くの女性が望む男性像は、女性の心身を開錠する唯一の「鍵」であることなのかも知れません。そうであれば、意中の女性を虜にしたいと考える男性は、薬物に頼る発想よりも、その女性にとって唯一の「鍵」となるように切磋琢磨することが、効果的で健康的なアプローチとなりそうです。そして開錠に成功したとき、お互いの存在自体が最高の媚薬になるはずです。

ストレスや抑うつ状態で性的な気分になれない人

ストレスや抑うつ状態は、本来のホルモン分泌を乱すことが考えられますので、自ずと性的な気分になれない場合があります。だからと言って、性ホルモンを補充すれば性的な気分になるのかと言えば、必ずしもそうならない事が考えられます。

先ずはストレスを発散し、ストレスの源となる問題を解決することが解決の本質と思われます。また、抑うつ症状で医師を受診して抗うつ薬を処方されている人は、抗うつ薬の副作用も考えられますから、主治医にご相談いただくことを強くお勧め致します。

もし、男女のいずれも更年期の不定愁訴に思い当たることがありましたら、性ホルモンの分泌不足が考えられますので、性ホルモンの補充が選択肢になるかも知れません。詳しくは、女性であれば婦人科、男性であれば泌尿器科を受診して、更年期症状や性機能症状に関する問診票に記入し、ホルモン分泌の状態を検査したうえ、ホルモン補充の禁忌となる既往症が無いか確かめた上で、医師に最適な処置をご相談いただくのが最善です。なお、更年期外来や性機能外来などの特殊外来を設けている施設であれば、より専門的な診察が期待できるので、万全です。

性的興奮状態にさせるような化学物質

「合法的で安全なもの」は、ありません。なぜなら、そのような化学物質は向精神薬や麻薬、覚せい剤になってしまうからです。非合法であったとしても、安全なものは無さそうです。

もし「合法、安全で効果があった」とおっしゃる人がいるなら、それが事実だとしても「プラセボ効果」と思われます。すなわち、成分そのものの作用というより、効果に対する期待感や直接関係の無い影響(動悸や心拍数の変化など)で、自分自身の性的興奮を高めてしまったのです。ご本人が満足するなら、プラセボ効果は最も安全という観点から最善とも言えますが、誰でも常に同じように効くとは限りません。

「バイアグラ」「レビトラ」や「ヨヒンビン」に催淫作用はありますか?

ED(勃起不全)特効薬と言われている「バイアグラ」や「レビトラ」「シアリス」といったPDE5阻害薬に、西洋近代医学最古の性機能治療薬「ヨヒンビン」。結論から申しますと、どちらも「皆さんが期待するような」催淫作用はありません。

これらの薬剤をご使用になって、「催淫作用があった」とおっしゃる方は、血圧や心拍数の変動や勃起の効果を実感して性的に興奮した、と言えましょう。敢えて申しますと、性機能の自信を取り戻した結果、性欲や性的興奮が後から高まった、と思われます。

筆者自身は全く性的刺激がなく、性的な気分でない時にバイアグラやヨヒンビンを服用しても、意識しない限り性的な気分にはなりません。また、(かなり難しいことですが、)性的な意識を完全に忘れている間に、意に反して勝手に勃起することもありません。少し鼓動が高まり、顔が紅潮するだけです。もちろん、これらの薬剤が効いている間に性的な想像をしたり性的刺激を与えれば、中等度と思われるEDは見事に回復します。

一方、「ヨヒンビン」は、古い薬学の専門書には「催淫剤」と書かれていますし、ヨヒンビンを知る人の多くは「催淫剤」と認識していらっしゃいますが、性欲そのものを亢進させるかどうかは不明です。近年のヨヒンビン研究によると、ヨヒンビンの作用は、交感神経α2受容体の遮断作用や、セロトニンに対する拮抗作用と言われていますが、これらの作用が直接、性欲を亢進させるとは考えられていないようです。

なお、女性に対する催淫作用を期待して、バイアグラやヨヒンビンを女性に投与する試みは、いつの時代にもあったようですが、作用機序の合理性に疑問がありますし、学術的には期待通りに成功した話はなさそうです。少なくとも弊社が学術文献を検索して来た限り、「女性の性機能障害に効果が無かった」という報告こそありますが、「効果がある」という報告はありません。アングラ系の情報の中には、もっともらしい成功談やコメントを見かけますが、先述のようなプラセボ効果と思われます。少なくとも適法ではありませんし、リスクとコストには全く見合わないようなので、同じ予算と労力、時間を「パートナーとの雰囲気づくり」に割く方が建設的だと思います。